BORIS 来豪インタビュー
• BORISは1992年に結成しましたが、私の知る限り、来豪は今回が初めてとなります。少なくともパースに来るのは初めてです?アメリカなどの海外と同様、オーストラリアには大勢のファンがいると思いますが、なぜこれまで実現しなかったのですか!?そして今回、何か楽しみにしていることはありますか?
以前から、オーストラリアのファンやバンドから、ツアーやライブのオファーはあったんだけど、実際具体的なプランにならないまま、自分たちのレコーディングや欧州USAのツアーなどのスケジュールがバンバン埋まっていってしまってたから、訪豪するタイミングを失ってしまってた。今回はSunn o)))と一緒に廻るんだけど、前回のはSunn o)))とのUSツアーで彼らのサポートメンバーでもあったオーレンの尽力もあって今回のオーストラリアツアーが実現した。
主要都市を廻るから、本数こそ少ないけれど、内容の濃いプレイを見せることが出来ると思う。
オーストラリアは気候や風景も素晴らしいと聞いているし、知り合いのいくつかのバンドもオーストラリアでプレイしたことがあるけど、皆口を揃えて「(シーンやオーディエンスが)グレートだった」と言っているから、とても楽しみだよ。Wataの好きなコアラも居るしね。

• オーストラリアのアムビアント・ノイズ・シーンのことをご存知ですか?最近Grey Daturasなどのバンドが注目を浴びていますが、その他にお気に入りのアーティストはいませんか?
Grey Daturaはtourのオファーをもらったり,音源を聴かせてくれたりして知っていた。でも実際、現在のオーストラリアのシーンについては悪いけどあまり知らない。オーストラリアに行ったことのある知り合いに尋ねると、ジャンル・スタイルを問わずコアなシーンが存在していて、盛り上がっていると聞く。AC/DC、ニックケイブ、Birthday partyは俺らのフェイバリット。俺個人としてはHardOn’sが大好きで、すごく昔来日した時に観にいったなぁ。
• 『Absolutego』などのスラッジ、『Heavy Rocks』などのエネルギーと力に満ちているロック、『Pink』の深みなど、それぞれのスタイルで演奏しているので、「BORISはどんな音楽?」という質問には答えがたいです。BORISの様々な作品をつないでいるテーマは自分達で何だと思いますか?
振り返ってみると、いままでたくさんの作品を発表してきた。年を追うにつれてサウンドスタイルの表層的には変化している部分もあると思う。アンビエントからヘヴィロックまで振り幅がデカイから言葉での形容がし辛いバンドかもしれない。ずっと貫いているテーマはとにかく「Rock」であるということ。かな?
まあでも、もし「BORISはどんな音楽?」と聴かれたら「わからない音楽」と答えておいてくれればいいかな。わからないって事は「新しい」ってことだからね。
• アルバムを作るときは、どのようにしていますか?3人それぞれのムードや聞いている音楽から影響を受けて、自然にある結果に導かれますか?それとも、意識的に、あるスタイルや音を作ろうと取り組むのですか?
アルバム/曲を作る時は、完全にスタジオでのジャムセッション。誰かがリフを書いてくることはない。
質問の通り、その時の気分/スタジオの雰囲気/昨日聴いてた音楽…そういったものから曲は自然発生してくる。「曲を作る」んじゃなくて「曲が生まれてくる」。そしてそういった一見ばらばらな断片達が、作品の完成に向けて一気に収束していく速度というのがすごくて、プレイしている我々自身の制御から「曲」が逸脱していく感覚を、いつも面白く感じている
• Merzbow, Sunn 0)))などのアーティストと協力したことから、BORISの音楽はどのような影響を受けましたか?また、どのように変わりましたか?
一般的に彼らはそれぞれ、ノイズやへヴィドローンとして認識されているけれども、それは表層的な、ある一部分しか見えていない。
彼らとは何度も一緒にプレイしてきたし、作品も作ってきた。それらの作業の中で、表現者である彼らが何を意図し思考して「音」を発しているのかとても共感できたし、なによりそこに通底している「Rock」なアティテュードが俺らと共通する部分だと感じた。
また、彼ら以外の様々なバンドやミュージシャンと共演したり影響をうけたりもしたが、俺らはどんな音を出しても、もう「BorisはBorisでしかないんだ」ということを再認識した。
• 最近オーストラリアで発売された『Pink』はこれまでで最も変化に富んだ、そして最も深い作品だと思います。「決別」、「俺を捨てたところ」などの曲で、これまであまり現れていない暖かさや力が伝わり、以前の作品より特にヴォーカルが複雑で感情的です。『Pink』の制作には、以前の作品と何かが違っていましたか?
以前リリースしたFeedbacker以降からレコーディングを自分たちでやるようになったんだけど、録音方法の自由度がかなり増したたこともあって、曲作りにおけるジャムセッションの比重も増した。思いつきのキーワードや、ふと、つま弾いた一音からどんどん曲が生まれていく。
ジャムが進んでいくうちに、その「曲」に感情移入して弾いたり歌ったりしている自分に「はっ」としたり、とても興奮する作業だ。あと自分たちで適当に録音するから,一般的には「失敗」という感じの録音になって,その印象がまた新しい曲の広がりを道びいいてくれたりね。だから曲が出来ていく過程においては「失敗」という概念自体が無くなっていったね。
元々誰かがリフや構成を書いてきて、何度も詰めていくような方法の曲作りはしていないから、以前よりも更に自分たちの中の制約がなくなっていった感じかな。だから歌のメロディーにしろ、曲のリフやコード感にしろ、よりストレートに自然に、感情的なものが反映されるようになったと思う。だから、『Pink』においては作曲という作業はしていない。メロディやリフや言葉が勝手に生まれてきて、俺らは「曲が最終的にそうありたいように」それらをアウトプットしていくだけだったから。
• そして、今後の話ですが、オーストラリアでは『Vein』は既になかなか手に入れるのは難しいですし、『Pink』は(日本で)2年も前に発売されました。今は、新たな作品に取り組んでいるのですか?
限定の作品の事に付いてはいろいろなところで話題に上がるが、いわゆる「一般的な価格の商品を作る」という制約の中では出来ない事がたくさんある。同時に「一般的な価格の商品」でありつつ内容も素晴らしいものを作っていく事も、非常に意義のある事。どちらにしても,良いもの,面白いものを作り続けていきたい。
『Pink』以降は、元Whiteheaven、現Ghost、The Stars、デーモン&ナオミのギタリスト栗原ミチオ氏との共作『Rainbow』をリリースした。海外では5月に発売される。そのほかにも多数のプロジェクトが同時進行してて、自分達でも把握しきれない程だ。BORISとboris(小文字/ロックの外側に向かっていく表現)と表記を分けてリリースしている訳だけど、今年もたくさんのリリースを予定している。PINKに続くBORISとしてのNew albumは現在着々と進行中。曲も大分揃ってきた。楽しみにしていてほしい。
もちろん今回のオーストラリアツアーも多くの人達にBorisを聴き、観て、楽しんでもらいたいと思う。